第22話 息子の入院が教えてくれたこと――ASD夫と暮らす私がカサンドラを知った日

サウナ事件から息子の入院、そして私自身の心の崩壊…。
この一連の出来事が、私を「カサンドラ症候群」という言葉へと導きました。
同じように悩む方へ、私の体験をありのままに綴ります。


目次

🌡️ 第1章:サウナ事件から始まった家族の不調

夫がサウナで倒れ、救急搬送されたあの日
家族全員が大きなショックを受けました。

その数日後、今度は長男が咳き込み、発熱しました。
最初は「疲れからくる風邪かな」と思いましたが、心の奥で違うと感じていました。

あの夜、息子は父に付き添い、深夜0時近くになってやっと帰宅。
小学生の子どもにとって、真夜中まで外にいること自体が大きな負担です。
そこに父を心配する気持ちまで加わり、体力も免疫力もすり減ってしまったのだと思いました。

そのことを夫に伝えると、返ってきたのは冷たい一言。
「因果関係はない。証明してみろ」

私は耳を疑いました。
普通の父親なら「自分のせいかもしれない、ごめん」と言うのではないでしょうか。
その瞬間、私の中に「この人は一体何を言っているのだろう」という強い疑念が芽生えました。


🤒 第2章:薬をめぐる絶望と孤独

その後、小児科へは夫が連れて行きました。
しかし、医師の説明も薬の内容も、私には一切報告がありませんでした。

しかも夫は息子にこう告げたのです。
「自分で治したいなら、自分で薬を飲め」

小学生に薬の管理ができるはずもありません。
私は出勤前にお皿に朝の分の薬をきちんと用意していました。
けれど、仕事から帰宅すると台所にそのまま残っていることが度々ありました。

そのときの私の心境

💢 朝、夫も台所に立っていたはず。
💢 これは息子の薬だと誰が見ても分かるはず。
💢 なぜ一杯の水と一緒に渡してあげられないのか?

→ 息子が苦しんでいるのに「治らなくていい」と思っているのでは?とさえ感じました。

布団に入り、息子の咳を聞きながら「私が仕事をしていなければ薬を見届けられたのに」と悔しさに涙がこぼれました。
理想的な夫なら、子どもの薬を管理し、医師の説明を妻に伝え、労いの言葉をかけてくれる。
でも現実はまるで逆。私の心には深い孤独感だけが残りました。


🏥 第3章:マイコプラズマ肺炎の診断と入院

症状は改善せず、数回受診しても良くならないまま。
やがて主治医からこう告げられました。
「マイコプラズマ肺炎の疑いが高いです。大きな病院で検査を受け、入院した方がいいでしょう」

胸が締めつけられる思いでした。風邪だと思っていたものが、入院を要する病気だったのです。
すぐに夫に伝えると、返ってきたのは「わかりました」の一言だけ。

普通なら「双子は俺がみるから看病に専念して」と言うはず。
しかし夫からは何もなく、すべて私の肩にのしかかりました。

💬 母の助言と夫の棒読み

母から「一言くらい声をかけてあげて」と助言を受けた夫。
その結果、帰宅後に唐突に「なにかやることあるか?」と棒読みで言われました。

私は直感的に「もう私の前から消えて」と返してしまいました。
感情のこもらないロボットのような声。
その瞬間、夫への不信感は決定的になりました。


💔 第4章:心の崩壊と涙の夜

入院先で24時間診てもらえるという安堵感はありました。
けれど「これを全部一人で背負うのは本当にしんどい」という思いが重くのしかかりました。

仕事、病院、双子の世話…。
フルタイム勤務を終えて急いで病院に行き、帰宅すれば食事と宿題の世話。
夜は布団に入り、涙が止まらない日々でした。

「普通の夫なら、謝ってくれるはず」
「普通の夫なら、私を気遣うはず」
そう思い描くのに、すぐ「ないわ」と打ち消す。
その繰り返しで心が削られていきました。

通勤電車の窓に映る自分の顔は、疲れ切り、涙で濡れていました。
隣の人の笑い声を聞くだけで「私だけが孤独だ」と感じ、胸が張り裂けそうでした。


🧠 第5章:心療内科での気づき――カサンドラ症候群との出会い

限界を感じ、心療内科を受診しました。
診察室で一気に話すと、先生はこう言いました。

「お母さん、それは相当大変でしたね」

その一言に涙があふれました。
誰もそんなことを言ってくれなかったのです。
先生の言葉に、初めて「理解された」と感じました。

そして先生は「あなたはカサンドラかもしれませんね」と告げました。
「カサンドラって何ですか?」と聞き返すと、
「発達特性を持つパートナーとの関係で、理解されず孤独感から心身に不調をきたすことがあります」と説明されました。

📘 カサンドラ症候群とは?
発達特性を持つパートナーとの生活で、理解されない孤独感・虚無感から心身に不調をきたす状態

その瞬間、頭の中に光が差し込むような衝撃を受けました。
帰宅後、私は夢中で本やネットを調べました。
「これも当てはまる」「これも私のことだ」――今まで私だけがおかしいと思っていたことが、事例としていくつも紹介されていました。

「私だけじゃなかった」
「おかしいのは私ではなく、この関係性だったんだ」
そう気づいたとき、心に少し光が差しました。


🔎 第6章:夫のASD疑惑と診断への道

私は心療内科で言われたことを夫に伝えました。
「私、カサンドラかもしれないって言われた」

一緒に発達障がいかどうか調べる専門の機関を一緒に受診してほしいとお願いしました。

すると夫はこう言いました。
「それでお前が納得するなら、診断に行ってやるよ」

夫は「自分が発達障害なわけない」「専門医に否定してもらえば堂々とできる」と思っていたのだと思います。
私の母からも「受診したほうがいい」と勧めてもらい、夫は診断を決意しました。


🌸 第7章:まとめ・読者へのメッセージ

長男の入院は、私の心が壊れるきっかけでした。
でも同時に「カサンドラ症候群」と出会い、初めて「私は一人じゃない」と思えた瞬間でもありました。

あなたへ伝えたいこと

💡 あなたが弱いのではありません。
💡 悪いのは、あなたの性格ではなく関係性。
💡 声に出して相談するだけで、必ず光が差し込みます。

どうか一人で抱え込まないでください。
カサンドラという言葉を知ったように、あなたにも「救われる瞬間」が必ず訪れます。

🌷 一人で抱え込まないで

もし「誰にも話せない」「身近に相談できる人がいない」と感じるときは、
オンラインカウンセリングを試してみるのも一つの方法です。

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この記事を書いた人

こんにちは。
結婚10年以上経ってから、はじめて夫がASDということを知りました。
同じようなモヤモヤを持っている人に共感していただける体験を綴りたいと思っています。

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