第16話:妻のSOSが伝わらない壁――ASD夫の危機対応

アミケ

今年あった事件。
思い出すだけで苦しくて涙が出そうになったお話です。

ある冬の夜、ひとつの電話が、私の胸に緊張を走らせました。

📞「お子さんが交番にいます。迎えに来てください」

そのとき長男は、電車の写真を撮りに行ったまま帰宅が遅れていました。
私は思わず「そんなに帰ってこないなら、もう帰ってこなくていい」ときつい言葉を送ってしまったのです。

…まさか、その言葉を真に受けてしまうとは。

息子は、まだ子どものため冗談や怒りに込められた言葉の裏を読むのが苦手です。
本気で「帰ってこなくていい」と思っていると感じ、どうしていいかわからなくなり、交番に駆け込んだのでした。

📍スマホにかけず、いきなりテニススクールに電話

下の双子はすでに寝ている時間。
私は長男の交番への迎えを、交番近くでテニスをしている夫に頼むしかないと考えました。

でも、私は最初から夫のスマホには電話をかけませんでした。
なぜなら、「どうせ出ない」とわかっていたからです。

⛔夫は普段からLINEも未読、電話もスルー。
テニス中なんて、休憩中であろうが、スマホを見ることすらないとわかっていました。

だから、最初からテニススクールの受付に電話しました。

…でも、その判断自体がもう悲しいですよね。
普通の夫婦関係なら、「まずは夫に直接連絡」だと思うんです。
それができない日常に、改めて胸が重くなりました。

🎾テニスを優先する夫。私の母の一言が胸に刺さる

受付の方が事情を理解してくださり、コーチに連絡してくれました。
しかし、夫の反応は予想通り。

「今テニス中なので、迎えには行きません」

ああ、やっぱりね。
心のどこかで「もしかして今回は違うかも」と淡い期待を抱いていた自分に、腹が立ちました。

このことを私の母に伝えたところ、母はこう言いました。

「あの人にはもう、頼らんほうがええ」

そうだよね。
そう言われた瞬間、私の中で何かがスッと冷めました。
この人を「パートナー」として頼ってはいけないんだ、と思わされました。

👶双子を起こすしかなかった…母親としての苦渋の決断

夫に任せられない以上、私が行くしかない。
でも問題は、寝ている双子をどうするか。

「明日学校もあるし、やっと寝たのに…」
そう思うと本当に心が痛かったです。

しかも、こういう時に限ってぐずるんですよね。
「ママ、どこいくの?」「やだ〜」

寝ぼけた声で泣き出す子どもたちに、「ごめんね、ごめんね」と心の中で謝りながら支度をしました。

私は強い母親じゃない。
このときばかりは、ストレスが爆発寸前でした。

🚓交番で見たのは元気な息子と、なぜかいた夫

交番に到着すると、そこには無事だった長男が。
その姿に安堵したのも束の間――隣にいたのは、なんとでした。

(は? 来てるなら、なんで連絡しないの?)

心の中で怒りが爆発しました。
結局迎えに来てたんだったら、私が出る必要なかったじゃない!

双子を起こして事情を説明しなだめて、夜道を40分以上電車と徒歩で急いで来た私の労力と気持ちは、一体なんだったの?

「俺が行くよ」「家で子どもたち見てて」
たった一言、そう言ってくれたらどれだけ救われたか…

📘ASD夫の特性が見えた夜

夫にはASD(自閉スペクトラム症)の診断があります。
普段からえって?と思うことは多発していますが、「非常事態」になると、さらに特性が色濃く表れます。

ASDの特性今回の行動との関連
こだわりの強さテニスを最優先して中断を拒否
柔軟性の欠如交番からの要請にすぐに応じられない
共感性の乏しさ妻の育児負担や不安を想像できない
情報共有の困難迎えに行くと私に連絡してこない

これらの特性は、傍から見たら“変わっている”くらいで済むかもしれません。
でも、今回のような家族の危機になると、無視できない大きな壁になります。

💔感情と理解のズレに、カサンドラの痛みが重なる

ASDという特性を知っているから、頭では理解できる。
でも、心がついていかない。

「なんで連絡しないの?」
「私の苦労、想像できないの?」

言いたいことは山ほどある。
でも、言ったところでまた疲れるだけ。
だから私は、誰にも言えず、ひとりで心をすり減らしてしまう。

📣あなたのSOS、届いていますか?

夫婦とは、支え合って生きるものだと思っていました。
でも今は、私が一方的に支えていると感じています。

こんなふうに「非常時に助けてくれない夫」に悩んだことはありませんか?
あなたのSOSは、ちゃんと届いていますか?

コメント欄で、あなたの体験を教えていただけたら嬉しいです。
このブログが、同じように悩む誰かの「ひとりじゃない」と思えるきっかけになりますように。

🌿心のモヤモヤ、誰かに話したくなったら

私自身、この出来事のあと、誰にも言えない気持ちを抱え続けることがしんどくなりました。
「誰かにわかってほしい」「少しでも気持ちを整理したい」
そんなときに頼れる場所があると、本当に救われます。

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子育てや夫婦関係に悩む方にも、やさしく寄り添ってくれます。

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私も「話すだけで心が軽くなる」って、本当なんだなと感じました🌸
同じように悩むあなたの心が、少しでもやわらぎますように。

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この記事を書いた人

こんにちは。
結婚10年以上経ってから、はじめて夫がASDということを知りました。
同じようなモヤモヤを持っている人に共感していただける体験を綴りたいと思っています。

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